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   男のモノなど、当然、触った事も無いが、自分が自慰を行う方法と同じようにしてみた。

   左手で砲身を上下に掻きながら、右手でカリ首の溝を刺激してみる。すると、サンジの尿道からは

    透明な雫が垂れ始め、ゾロの腕を濡らすようになった。


   そうすると、サンジは艶のあるうめき声を上げ、身体を跳ね上げるような動きをしている。

   ギシギシとベッドは揺れ、サンジの声は両隣の部屋から聞こえる物と良く似ていた。

   「そ、そんな奇妙な事をするのか? その売春婦と言う職業の人は? 」

   「奇妙……って、お前、した事が無いのか? 自分でしているだろ? 」

   「あ〜? 何で、尿も出ない時に、そんな場所を触る必要があるんだ? 」

   本気かよ、と思い、今度はゾロがうろたえてしまった。

   あやうく、「尿じゃ無いモンも出るだろうが! 」と叫びたくなったが、その説明もしろ、と

    言われるのが恐ろしい
ので、何とか思い留まった。

   どうやら、この王子様は自慰も経験した事が無いらしい。

   王宮の性教育は、一体、どうなっているのだろうか?



   前に、宮殿の庭で昼寝をしていたら、サンジに捕まり、《 付き合っている女性はいるのか 》と

    訊ねられた事があった。


   ゾロは「いない」と答えた。

   すると、サンジは大笑いして「自分には50人もいるぞ」と、自慢げに答えたのだ。

   驚いて、良く聞いてみると、「舞踊会で一緒に踊る女性」の事を言っているらしい。

   ダンスをしたり、一緒に庭を散歩したり、話をする事を「付き合う」と言っている様子なのだ。

   その時も、いつものように面倒臭かったゾロは、特に反論もしなかった。

   こんな事なら、一つ一つ、きちんと教えるべきだったと、ゾロは今になって後悔していた。



   とにかく成り行きだったが、サンジの硬くなった男根を必死でしごくゾロだった。

   その姿は間抜けたが、それ以上に間抜けなのは、サンジ王子である。

    ゾロに、ほんの数分間、弄られただけでイってしまったのだ。


   「あ、あ、あ〜! 」

   なんて、盛大な叫び声をあげて背筋をのけぞらせると、砲身から白い汁を噴出させた。

   とんでもなく早漏だったが、ここで何か言うと、またやっかいな事になりそうだったので、

    ゾロはひたすら無言に徹した。


   尿道口から飛んだものは、サンジの腹の上に流れて散った。

   それを自分の指ですくうと、サンジは眺めたり、匂いをかいだり、尿との違いを確かめている

    様子だった。


   そして、実に不可解だ、と言う顔をして、ゾロを振り返った。

   「なあ、こういう事でお金が貰えるものなのか? 確かに、俺は気持ちが良かったけれど。

    やっているお前はどうなん
だ? 」

    ゾロは返答に困ってしまった。


    確かに、ゾロは気分が良かったかと言うと、難しいものがある。


   「あの綺麗なお姉さん達は、ちゃんと仕事として成り立ってんのか?

    この商売はどれくらい儲かるものなんだ。これで生活ができるのか? 」


   急に真剣な表情で聞いてきたサンジに、ゾロは驚いた。

   売春婦と言うと、裏街道の仕事だ。

   蔑まれる事が多いが、サンジの場合、きちんと仕事だと理解した上で、その生活の心配を

    しているらしい。


   ゾロは 「王子はアホだ」 と常日頃思っているが、人間としては間違った事をする男ではない

    とも知っていた。


   将来、バラティエ王家を背負うワケだが、素質としては、問題は無いような気もする。


                           


     実際の話、ゾロはサンジに内緒にしている事がある。

    王位継承の条件になっている 「オールブルー」 は伝説にすぎないのだ。

    王家の代々の王は、それを見つけた事が無い。

    この旅の本当の目的は、オールブルーを探す中で、王子が世界を知り、知識と経験を磨き、

     立派な王になるための学びのために用意されたものだった。


     ゾロがもう十分だと判断すれば、それで旅は終わりになる。


    サンジには教えられていないが、真相はこうだった。


                            


     しばらく、ベッドで何事が考えていたサンジが、真顔でゾロに聞いてきた。

    「なあ、お前も、コレをしていたのか?」

    「ああ? コレ?」

    ゾロは意味がわからずに、訊ね返すと、サンジ王子はこんな言葉を続けた。

    「お前も旅の途中で、路銀に困ると、こうやって 《 男娼 》 をやっていたわけか? 」

    「んなワケあるか! このボケ! 」

    絶叫するゾロだった。

    王子に対してボケってなんだ! と、すぐにサンジはゾロに素足のままで足蹴りを入れてきた。



    この王子様が国に帰る事になるのは、まだとうぶん先の話になりそうだった。

     今日の出来事を、当然、従者は王宮には報告できなかった。





                                
〜無知は罪〜 了




            
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